「俺に喧嘩売ったんだ…生きて帰れると思っちゃいねえよな?」
「面倒くせぇが……死ぬまで、殺してやる。」




薄褐色の肌に少し癖のついた黒の短髪、鋭い眼差しに似つかわしくない深く濃い緑の瞳。
短躯ながら恵まれた骨格、過剰に積載された筋肉―――。
一見して国籍不明な彼の身体的特徴の数々は、様々な人種の混合であるが故だという。

幼少期よりイタリアにて祖父と共に暮らしていた彼は、当時より悪童として有名であったが、年を重ねると共にいつしかイタリアでも指折りの危険人物に数えられるほどになっていた。
特に地元マフィアの数々を独力でほぼ壊滅状態にまで追い込んだ事件については、大々的には公表されなかったものの警察内部では伝説的扱いとなっている。
その異常な暴力の跡は人間業ではなく、当時捜査に関わった者の中には、「彼は人間ではなくdemoneである」と熱心に語る者もいるほどであった。
薄暗い支配から逃れた街は、だがそれ故に異様なほどに静まり返り、常に彼を見つめていた。街は、彼にとって居心地の良い場所ではなくなってしまっていた。
その折、偶然イタリアを訪れていたある日本人と出会い、彼の提案から日本へ渡ることとなる。
日本で暮らすようになりしばらく経ったある日、フードの中に奇妙な板切れがあるのを発見する―――。





■人物像


一人称:俺 二人称:アンタ、お前、テメェ

< 人物 >

比較的常識的な人物にみえるが、その根底には独自の価値観に基づく規範がある。その価値観と常識の合致している部分が彼を常識的な人物に見せているだけである。
中でも特に暴力の扱い、モラル、他者への思いやりなどに関する意識が非常に希薄であり、表層的な人物像よりも暴力的・非人道的な人間であると言える。
しかしその一方で、規範に合致してさえいれば善に加担することもあるため、完全な悪人というわけでもない。いずれにしても、自身の規範を貫くことを第一とする人間性であるといえる。
その性格は粗暴で温和とは言いがたく、短絡的で自己中心的な部分が多くみられるものの、揺らがない絶対的な意思に裏打ちされたその精神は、得も言われぬ魅力を放っている。
規範という支柱があるため瞬間的な判断力に非常に長けており、また英語・イタリア語・日本語のトライリンガルであるなど、高い知性を覗かせる一面もある。
ただしその知性が行使される場面は少なく、物事を理解しつつも何かにつけて面倒臭がって行動を起こさないことが多い。
しかしそれは凝り性という性質の裏返しでもあり、一度やり始めたならとことんまでやるタイプでもある。
かなりの大食漢であり、瓶飲料を好む。食べる分には料理の質には頓着しないが自分が作るとなると別であり、日頃の振る舞いに似合わず繊細で非常に手の込んだ料理を作る。
そのレパートリーはフルコースから漢の一品料理まで幅広く、完成度は玄人そのものである。
芸術方面にも覚えがあり、路上でのグラフィティを主として活動する。必要時にはどこからともなくスプレー缶などが取り出されるという。
本来ならば頭痛持ち:Bに相当する慢性的な頭痛を抱えているが、その類稀な意志力によって集中している間は無効化されている。



■戦闘スタイルと聖板戦争における方針


 <方針・目的>
新天地である日本という土地への興味もあり、瓶飲料を片手に時折グラフィティを描くなどしながら石枝市を歩き回っている。
具体的な目的はないが、興味を惹くことがあればあらゆる場所へ顔を出すため、厄介事に巻き込まれることも多い。
その場合の解決策の多くは暴力であり、それを使用することへの躊躇いはみられない。
マスターであるため聖板戦争という特別製の厄介事にも当然巻き込まれることになるが、サーヴァントを従えている自覚が無いため「いつも通りの鉄火場」程度にしか考えておらず、
またそれを乗り越えるだけの能力を有している。
状況の把握が進めば他マスターとの協調の可能性も存在するが、基本的には単独行動を好む。
また、一応は転片直属の用心棒という立ち位置であるため、彼の指向に沿う場合もあるがどのような選択を採るかは彼次第である。彼と転片の関係性は、非常に細い綱であると言える。


 <戦闘に関して>
彼だけが使用できる規格外の戦闘スタイル「制圧前進」にて、あらゆるものを踏み潰し前進していく。
周囲にあるもの全てを武器とし薙ぎ倒すそのスタイルは、一対一だけでなく乱戦でも非常に大きな効果を齎す。彼にとって最大の武器は地面であり、壁であった。
凡百の相手では彼に追われた時点で恐慌状態に陥るほど生物的な位が違うため、人間相手の戦闘はもはや児戯にすら及ばない状態になっている。
魔術的な素養は持たないものの、その意志力により精神感応系の魔術は一切効果がなく、生半可な攻撃魔術では彼を止めることはできないなど魔術師にとっても天敵といえる。
サーヴァント戦こそが彼の本領と言えるだろう。


 <性格的相性に関して>
話の通じる人物ではあるが、そのモラルは独自の見解に基づくものであり大別すれば悪であるため、正義感を振りかざす者など相違が大きい相手とは協調できない。
また目的を同じくする相手であっても、足並みを揃えるという努力を行わないため、周囲が彼に合わせていく必要がある。
特に女性に対しての配慮などは一切持ちあわせておらず、無意識的に傷つけることも多い。
しかしながら、その絶対的な意思による堂々たる威風と人智を超えた力はある種のカリスマ性を持ち、彼の意思に関わらず味方、あるいは信奉者が増える傾向にある。
彼にとっては迷惑なことだが。
また複数の言語を扱えるため、外国人との高い意思疎通能力を備えている。



■サーヴァントとの関係


脈絡なく襲い掛かる様々な異常事態に違和感を感じてはいるが、聖板戦争というより強大な特異に隠れてしまっているため
ウィスパーの存在には気付いていない。
思考を持つサーヴァントではないため、性格的な相性は存在しないものの、こと戦闘においての相性は抜群と言える。
ウィスパーの齎すあらゆる事象を突き破り踏破できるのは、彼ぐらいのものであろう。



■台詞


「止めとけ。泣いて拝んで喚いたところで、緩める気は一切ねえよ」

「次からは肩ァ震わせて下見て歩け。俺の視界に入―――もう聞こえてねぇか」

「右も左もわからねえなら、黙って俺について来い。……真っ直ぐで良けりゃ、案内してやる」



■イラスト、小説の二次創作使用


ご自由にどうぞ。