『――人類なんざ救えてたまるか。
俺に救えるのは俺の世界だけだ』
■人物像
一人称:俺(フォーマルな場では私)
二人称:アナタ、アンタ、オマエ
アメリカ合衆国マサチューセッツ州、某都市に所在する私立大学所属客員研究員。
しかしてその裏の顔は「霊長総軍」研究開発部署の筆頭研究者である。
元来は根源に連なる存在と目される「聖板」の解析もろもろを目的とするこの研究開発部署だが、
来る「大極点」および今回の聖板戦争に備えての霊長総軍メンバーへの支援品および礼装の開発も担う。
原則上層部にしか知らされていない「大極点」の情報を、その性質上特権的に与えられているという点で、
部署全体の総意という名目の元ではあるが上級幹部レベルの発言力を持つ構成員達。
ミハル・オブラク・ホホロウシュはその発言を左右できる言わば“顔”である。
便利屋兼掃除屋、言霊使い・甲斐名壱見が「霊長総軍」に雇われるに至った大本の人物。
正確には甲斐名の直接の雇い主は「霊長総軍」過激派・実力主義の上級幹部であり、ホホロウシュはこの幹部に
“下手な人材に「英雄」として目覚められた挙句足を引っ張られても困るのでは”
とか何とか唆し、その結果内外から募られた“間引き役”の一人がこの甲斐名壱見である。
ホホロウシュは甲斐名達と件の幹部との折衝役として間に立ち、
組織の名の下に彼等を英霊の触媒や礼装等、様々な形で支援しつつさり気無く自身に都合良く動かし、
その果てに甲斐名達に聖板を獲得させ自身の手駒となりうる「英雄」に仕立て上げようと画策している。
皮肉屋にして利己主義者。
自分の思い通りにならないと気に入らない人間。
故に、根本的に他人のやる事なす事が認められないし黙って見ていられない。
結果自身に害が及ぶようなことがあれば、あの手この手で他人の行いに干渉し自身の利になる方向にもって行こうとする。
その癖、自身の如き利己性を(程度の差はあれ)万人の真理と信じて疑わず、
「自分の行いはマイナスをニュートラルに戻しているだけ」、
「己の得を放棄するような連中は損をしても文句は言えない」と悪びれる様子がない。
魔術・科学問わず様々な研究機関を渡り歩いた経歴を持ち、
如何な場所であれ一定の成果を上げる実力を有しているが、
なまじ中途半端に優秀であるが故に、「上には上がいる」ことを篤と思い知らされており、
また自分がその領域に達することは無いだろう、と悟っている。
だがそれ故に「上」の人間により好き放題に左右される世の理を苦々しく感じており、
己の利己主義と相まって「そんな連中に我が物顔に振る舞われてたまるか」と、敵愾心を募らせている。
■聖板戦争における方針
■目的
自身の私的な研究を「自分が生きている内に何としても実現させたい」と考えており、
研究を早めるために何を利用し何を犠牲にすることをも厭わない。
そのために表裏問わず様々な研究機関を渡り歩いてはその技術を盗み資源を使い倒してきたホホロウシュだが、
「霊長総軍」にその腕を買われスカウトされた折に「大極点」――人類がまもなく滅ぶ事実を聞かされ、
「生きている内」という時間的猶予が予定外に狭まった事に愕然とするも、
逆に人類未曾有の危機という動乱の環境は自身の研究を大幅に進める「人体実験」の場として最適であると思い至る。
故に、今回の聖板戦争という「将来の英雄の発掘」には特に否定するところではないが、
肝心要の「将来の英雄」という不確定要素に信を置けないでいる。
“果たして聖板によって悲願を成就し終えた英雄に、「世界を救う」なる大役過ぎる大役を担うモチベーションが残されているだろうか?”
“否、むしろ逆にそんな気概に満ち満ちた英雄共の手に掛かって、世界が「完膚なきまでに」救われてしまったとしたら?”
どちらに転んでも、彼にとっては不都合である。
滅びようが救われようが――彼にとって垂涎の、動乱の世界(じっけんじょう)は失われてしまうからだ。
ホホロウシュは危惧する。生まれ出ずる英雄候補共を管理、調整しなければならない、と。
“ショボい奴等にこぞって「英雄」になられたら?どっちの意味でも目も当てられない”
“聖板はどうする?正直な話、できればそんな半端な餌なんて没収してしまいたい”
“そもそもそんな「英雄」自体、手元に置いておかなければ安心できやしない”
“そんな誰だかわからん連中に、世界を滅茶苦茶にされてたまるか―――”
苦慮の末、彼は一つの愚案に至る。
“ショボい奴等をダシに使って、自分で「英雄」をプロデュースすりゃいいんだ”、と。
■方針
…ホホロウシュの方針は以下の通りである。
1. ある程度コントロールの効く英雄候補の確保、および間引き役としての抜擢
2. “間引き役”による、不必要に頭数を増やしかねない有象無象の英雄候補の排除
3. “間引き役”に英霊の魂を獲得させての聖板の入手、願わくば“間引き役”の英雄としての覚醒
(最悪、本当に有望な外部の英雄候補が多すぎない程度に覚醒しさえすれば、自陣の間引き役に覚醒してもらわなくても構わない)
そして、
0. “間引き役”に配布する小聖板の代わりに、その通信機能を改造、拡張した遠隔操作機能「のみ」を組み込んだ
いわば「小聖板の子機」を配布、親機としてリンクしている本物の小聖板を秘密裏に確保。
後の彼等に対する取引材料として用いる
こうして“首輪のついた英雄”を手中に収め、
今後の「大極点」阻止任務の要所要所で登用、ないし足を引っ張ってもらうことで、
自身の望む「滅びもせず、救われもしない動乱の人間社会」を成立させることがホホロウシュの最終目的である。
…この通り、様々な面で組織への反逆行為をいくつも重ねており、事が発覚した場合を鑑みると、彼の方針は余りにも綱渡り的といえる。
しかしながら彼の切迫した研究事情、加えて「“上”の連中に一杯喰わせられるかも」という仄暗い希望が、彼の決意を不退転のものにしている。
■サーヴァントとの関係
正しくはホホロウシュのサーヴァント、というより研究・開発部署全員のサーヴァントである。
(聖板を改造、複数のマスターに一体のサーヴァントというイリーガルな主従形態をとっている)
キャスターもまた間引き役として召喚したサーヴァントであり、
同時に来たるべき「大極点」に向けての予行練習として用意した意味合いもある。
そういう意味では正真正銘の駒、道具としてしか見ていない。
…なお、“妖精化”により仮に使役されたとして、
キャスターを通して全員が相互にパスで繋がっている状態にあるので、
彼等の一人でも使役されずに残っていれば容易く“妖精化”を解呪できる。
■台詞
『この組織は“英雄の組織”じゃなくて“英雄にかしずく組織”。
組織自体に、人間社会を救う力なんて無い。
――「霊長総軍」とはよく言ったもんだ。
俺達は霊長(サル)で、アイツ等は英雄(ニンゲン)だってか?』
『妄想一つで再生可能な願い事が実物になったところで何の違いがあるんだ?
願って、叶って、良かったねバンザーイに何の躊躇もなく食いつくヤツが凡人の努力をコケにしていくんだ。
赦せるかそんなモン』
『――執行(エクスキュート)、[code:Administrative Access]――
“令呪を以って命ずる”』
■イラスト、小説の二次創作使用
ご自由にどうぞ。
自分で作っててなんですがとても胸糞悪いキャラですのでオススメしたものかいささか疑問ですが…。
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■あまり今回と関係の無い設定
“第3次聖板戦争の世界”におけるシモン・ムルハ・ホホロウシュにあたるであろう人物。
ただしその名前は彼の亡き兄の名前…ホホロウシュ家今代の長子に用意された名前である。
“第4次聖板戦争の世界”においてはシモンの兄にあたる人物は生まれておらず、
そのポジションに“第4次聖板戦争の世界”でいうところのシモン・ムルハ――ミハル・オブラクが収まっている。
だがシモンと丸っきりの同一存在というわけではなく、多分に兄の才能や性格も入り混じっており、
厳密には両者のどちらとも言えない、ぶっちゃけた話別人である。
(シモンは確かに周りを省みない男だが、それは単に迂闊で粗忽なだけでミハルの如き打算性はほとんどない。
計算高いのは兄の方だが、彼は我欲が薄いのであまり悪しく発揮されないのだった。
逆にいえば件の兄弟の長所短所がいやーな感じに混成接続されて、奇跡の如き粗悪さを呈しているのがミハルである…。)
“第3次の世界”では没落錬金術師一族だったホホロウシュ家だが、“第4次の世界”では
ホホロウシュ家は数代前に既に荒廃しており…というより既に「科学側」に鞍替えしており、
“第4次の世界”のホホロウシュ家は人知の及ばぬ謎技術を振りかざし研究に平然と織り込んで憚らぬ、
言わば“狂科学者”の血筋である。
…なお、たとえほとんど別人と言えどミハル・オブラクと、シモンおよびその兄は同一の運命体である。
シモンの兄はホホロウシュ家の先行きを案じ、万が一の時の身請け先としてマサチューセッツ州某大学の人間と親交を結んでいたし、
第3次聖板戦争に家の虎の子の財産も何もかも注ぎ込んだシモンは、その伝を頼り(というか身売り同然に)某大学に身柄を預けることとなる…。
(なお第3次での「霧露帝釈天網」があれだけの規模で展開できたのはひとえにシモンのこの後先考えない捨て身の散財によるもので、
第4次のミハルにはそれを行うだけの自由に出来る資金がないし、あっても未完成の技術を無闇に公開するよりは、
研究継続に費用をあてる方が彼にとっては優先順位が高い。)
なお蛇足の蛇足だが、ムルハは霧、オブラクは雲の意。
霧と雲は視点が内と外、位置が下と上というだけで実は同じモノ。