■詳細設定

 

 

■概要■

 

平行世界から召喚された膝まで届く程の黒く長い髪、そして左右に飛び出た獣の耳の様な髪型が特徴的な少女。

どの様にしてここに来たのか分からず彷徨っていた所をルーラーに保護され、そのまま監視下に置かれている。

この様な状況になる事を予測出来ていた訳ではないが元の世界で戦闘訓練を行っていたらしく見た目に

惑わされていると痛い目を見る。ただし、彼女自身は実戦経験が無い。

 

 

■性格■

 

素直で優しい性格をしており、ちょっと臆病ではあるが困った人が居たら見過ごす事が出来ず首を突っ込んでしまう程の正義感が強いのだが、

その性格と“人間の悪の部分を余り知らない”せいでよく騙される事たり周りに振り回されている事にも気付かない程の純粋な子である。

友達や知り合いには積極的に話したりするが、見知らぬ人には余り喋れず人見知りと思われる節がある。

また、白狐化した際に若干ではあるが好戦的になる。

 

 

■聖板戦争における方針■

 

英霊・葛の葉が行っていた「一般市民の危害を未然に防ぐ事」と言う意思を行動しようとするが・・・

ルーラーに監視されており規制を犯す行動をすると妨害される為、まともに動く事が出来ずにいる。

しかし、ルーラーの方針内容が自分と方針と若干ではあるが当てはまっていた事を知り、ルーラーと動向する事で

自分のやるべき事を成そうとしている。

 

 

■戦闘スタイル■

 

通常時は元の世界で編み出した高速発動可能の呪術を主体にし、式神に足止めをさせつつ自分は遠距離からの支援に徹する。また、

白狐化した場合は出来る限り自分も戦闘に参加し式神と連携を取る。

儀霊転身時は若干ではあるがサーヴァントとの戦闘が可能になるが余り期待は出来ない。

元の世界での特訓のお陰で基本的に近接から遠距離まで対応できるオールラウンダーであり、スピードを活かし近接と遠距離の交互に切り替えて

相手をかく乱させる攻撃を得意とするが、基本スペックがキャスターな為近接時に力負けし易い為、大体は自サーヴァントに任せ支援に徹する。

あくまで可能な限りなので大抵は自サーヴァントとの連携がメインである。

 

 

■戦闘時相性の悪い相手・良い相手■

 

上記の様にそこまで力がある訳ではないので力の強い相手ならマスター相手でも負けてしまう程に貧弱である。

戦闘訓練を受けているが実戦経験が殆どないので儀霊転身させなければ普通の女の子とあまり変わらず白狐化も

注意すればそこまで脅威ではない。

また、術によるものが殆どの為、魔術行使の妨害または無力化、対魔力との相性が弱い

相性が良い相手で言えば術が通り、式神との連携に対応出来ない脳筋の様な相手位である。

 

 

■性格的に相性の悪い相手・よい相手■

 

自分と同じ危害を加えない人やこの戦争を終わらせ様と思っている人とは相性が良いが最初は人見知りなので慣れるまで

付き合ってくれる程度の性格が必要である。

相性が悪いのはその逆で危害を加える事を楽しむ残忍な性格を持つ人である。また人見知りを慣れるまで付き合えない人も

難しい。

 

 

■パートナーについてどう思っているか■

 

戦闘の時はピリピリしてて怖いけど戦闘が無い日常時はこの世界に不慣れな私に優しくしてくれるので

根は優しいのだと思っている。

 

 

■式神詳細■

 

(くろ)

無表情で前髪で顔を隠した黒狐の女の子。

実を言うと彼女は第一次から経験している実力者で数々の修羅場を潜り抜けた猛者である。

性格は冷静沈着で仲間思いがある面もある。周りの状況を正確に判断し適切な行動を行う事が出来る。

表情を出さなければ声も出さない為、仲間からも何を考えているのか分からない様と言われているが本人は気にしていない。

元々は野生で生きる狐の群のリーダーだった仲間を守るために庇い命を落とすが、自分が死んだ事に気付いておらず彷徨っていた所、

神様の居ない神社に住み着き結果的にその神社を守っていた為か稲荷神の様な扱いにまで上り詰め様としていた。

第一次聖板戦争時に葛の葉の霊狐として使役させた後は彼女の為に戦う事になる。黒自身は地位等には興味が無く

自分を仲間として受け入れてくれた葛の葉に忠誠を誓っている。

その後、第2次聖板戦争終了時、葛の葉に「梓希を守る」様に言われ第3次の間姿を現す事はなかったが常に梓希の側にいた。

式神になり漸く姿を現し彼女の実力を見つつ見守っている。

因みに担当は近接戦闘であり術等は扱えず薙刀や弓などの武器による攻撃がメインである。

ステータス的には

腕力C 耐久C 俊敏D 魔力E 幸運D

 

(しろ)

おどおどした表情を見せ、白く輝く髪を持つ白狐の女の子

性格は物静かで臆病な面もあるが真面目で優しく何所と無く葛の葉と同じ印象を持つ。

それは彼女がその葛の葉と呼ばれるサーヴァントの体を奪い情報収集の為だけに作られた本来存在するはずは無い人口の魂だからである。

人と言っても実際にはサーヴァントにより作られたのだが、葛の葉の体を通して彼女の空っぽの魂の中に少しずつ自我が目覚めていったのだった。

体を取り戻す為に梓希に体を借りた葛の葉との戦闘で完全に覚醒し戦いを拒んだ。

その後の彼女を作り出したサーヴァントは命令を拒絶した事に怒り腹いせに梓希(葛の葉)に攻撃をするがそれを彼女が防ぐ、その行動に

驚くサーヴァントの隙を付き攻撃するも相打ちに終わり葛の葉の体と共に消滅する筈だったのだが、葛の葉が寸前の所で彼女の魂を回収

する事に成功したのだが魂を抜き取る術自体未完成だった為葛の葉やこれまで遣って来た一部の記憶を失ってしまう。

その後、霊狐の体と「白」言う名前を貰う。

担当は弓と葛の葉の体に入っていた際に扱ったノウハウを活かした呪術による遠距離攻撃である。

一応ではあるが近接戦闘も出来る万能タイプだったりする。

ステータス的には

腕力E 耐久E 俊敏D 魔力C 幸運B

 

 

■絆‐Link‐の所有能力■

 

+追感霊線‐Line

繋がった相手の位置を示す線が出る。これは相手や物を頭に描く事で発生するのだが、その際、違うものを考えてしまうと

其方に向いてしまう事がある

 

+憶感天書‐Memorize

書く、見る、聞いたものを繋ぎ記憶する。この記憶はどの様な記憶の消去、改竄を受け付ける事はない。

 

+繋変転化‐Alter

繋がったものを少しずつ変化させる。ただし、変化するには長期間関わっていないと効果が無い。

 

○繋霊開行‐Drive

連鎖的に繋がる事でその効果を倍加する。

 

○儀霊転身‐Link Drive

英霊の魂と繋がりその力を得る。

 

○憑依転身‐Soul Link

他者の魂と繋がる事でその者の力と能力を得る。ただし、単純な魂では時に発揮出来ず逆に弱体化してしまう。その上長時間

この状態が続いた場合、魂の同化が始まってしまう。

 

○天現転身‐Link Overdrive

信頼性の高い二つ以上の魂と繋がる事で規格外の力を得る。ただし、魂の同化する時間は憑依転身よりも更に短い。

 

+常時発動型 ○任意発動型

 

常時発動型は自分では制御できず勝手に行われてしまう能力で憶感天書の様に便利なものもあるが、繋変転化に関しては不明な

部分が多く実用的では無い上に、相手や物を“変化させる”と言う得体の知れない力であるため仲間にどの様な影響があるのか

分からないので自然と遠ざける原因にもなっている。

ただ、現在で変化が確認されているのは彼女の魂に定着している葛の葉の魂のみである。

任意発動型は主に戦闘での使用されるものが殆どである。特に転身関連は過去に参加していた葛の葉の戦闘を元に作られている。

魂の同化は直ぐに行われるものでなく特定の時間を経過すると発生するものでそれの指定時間以内なら転身を解除すれば影響はない。

時間に関しては憑依転身の場合は10分間天現転身の場合は3分間である。また、両転身を解除した場合、再転身までに

5時間程掛かる為扱いが難しい

もし、魂の同化した場合、同化した魂の能力を自分のものにする事ができ、更に時間無制限で同化した魂の能力を使う事が出来る。

この様にメリットもあるのだが同化した魂は勿論消滅し、死ぬよりも最悪の最後を迎えてしまう。

また、サーヴァントクラスの魂になると逆に精神を奪われ自分が消滅すると言うデメリットもある。しかし、精神を奪わない程の

信頼関係がある場合はその力を扱う事も可能になる。

この他にも命名されていない能力の一つに拘束術に対し高い効果を発揮する力がある。

 

因みに、これらの名前は能力を解析した天悼柊夜が命名したものである。決して彼女が考えたものではない!!

 

 

■白狐化の発動条件■

 

基本的に彼女の体内魔力が一定以上の値まで達すると発動します。

ただ、普段通りの生活している場合は魔力の向上はしませんのでまず発動する事はありませんが、次の条件が一つでもあれば上昇し始めます。

・霊脈が優れている場所に一定以上留まる

・誰かに魔力を注ぎこんで貰う

・月の明かりが照らしている場所に留まる

・錬天・飛葉天恵を利用した特殊術式のよる魔力増幅

また魔力の上昇値は霊脈<月の光<魔力注入=錬天・飛葉天恵の順です。

ただし、魔力注入の場合高い魔力を所持している人の方は効果的で注入した瞬間、白狐化したりします。

なぜ月の光で上昇するのかと聞かれれば何となくでしょうか。ただ月には何らかの魔力がある的な感じですかね。

決して狼男見たいとかじゃありませんので。

因みになぜこの様な特性があるのかと言うと英霊の魂が魔力を吸収しようとするのが原因だったりします。

あと若干ですが性格が好戦的な感じになるのは凶暴化の副作用の様なモノだと思ってください。効果的にはサーヴァントを見ても

怯んだり腰を抜かす事がなくなる程度で怖いと思うとすぐに逃げたりする程度です。

 

 

■儀霊転身について■

 

発動条件

・白狐化している事

・葛の葉に関する品

・梓希の戦いに向き合う意思

葛の葉に関する品は勿論彼女が持っている葛の葉人形である。

現在は錬天・飛葉天恵と言う特殊術式を使う事で即座に儀霊転身をする事が可能になっている。

 

この能力の長所と短所

長所

・魔力供給をしなくても自分の魔術回路で魔力を回復する事が出来る。

・小聖板によるステータスや宝具等の能力を調べる事が出来ない。

・人間でありながらサーヴァントクラスと対等に戦う事が出来る(ただし英霊の能力による)

短所

・魔力の回復は出来るが使い過ぎると回復が間に合わなくなる

・令呪による強化、霊体化等のサーヴァント能力が使用出来ない

・英霊の能力が高くても自分の身体能力以上の行動をすると体に負担が掛かる。

・基本は人間な為怪我などしても直ぐには治らない。

・魂の質によってサーヴァントの能力が変化する為今回の様に半魂だと能力が半減してしまう

・逆に完全な場合その英霊の精神に支配されてしまう。またどんなに抗おうとも英霊クラスの精神だとこちらが支配する事は不可能

 

この様に余り良い事は無かったりします。因みに支配されると書いていますが今回は半分な上、葛の葉の精神自体は既に無い為、

支配される事はない(白狐化で凶暴化するが)

また体の負担については体の負担を抑える専用の強化魔術をかける事で解消している。ちなみにこの術は錬天・飛葉天恵の術式に組み込まれて

いるので発動と同時に付与出来る様に作られている。

ただし、付与してると言っても体自体が強化している訳では無いので防御力が上がるという効果は無い。また、付与してから30分程度

しか持たず、効果が切れた場合再度付与し直さなければならないのだが、その際は錬天・飛葉天恵よりも時間が掛かってしまう。

理由としては錬天・飛葉天恵時は魔力の増幅を利用し短縮する事が可能だった為である。

 

錬天・飛葉天恵を使用した儀霊転身の一連の過程

 

飛葉を5枚用意し梓希の周囲に配置

 ↓

配置した飛葉が梓希の周囲を回る、その際に梓希の特性の一つ“連鎖的に増幅させる”能力を使い梓希の魔力量を増やす。

 ↓

増幅した事により白狐化が始まる、その時に負担を抑える強化魔術を付与する。

 ↓

白狐化完了後、梓希と英霊の魂を繋ぎ英霊化させる為の特殊術式を展開させる。

 ↓

葛の葉人形が専用の服に変化しそれを着装して完了となる。

 

これを数秒で完了させるので、転身するタイミングを狙う程の事がない限り妨害するのは難しい。

ちなみに、その数秒の間に攻撃が当たてる様な妨害を行う事で転身をキャンセル出来る。

 

梓希の英霊としての能力

 

筋力:E(D)

耐久:E(D)

敏捷:E(C)

魔力:E(C)

幸運:E(C)

※カッコ内はスキルの使用による可能とされる上昇の最高値

 

スキル

 

愛:EX

愛情、好感による感情で自身のステータスを向上させる能力。なお他の違いランクは変わっていませんが上昇値は半減しています。

 

神通力:D

人間の思慮でははかれない、不思議な霊妙自在の力。殆どの能力を使用できませんが辛うじて飛行のみ使用可能

 

神性:−

神霊適性を持つかどうか。半魂しかなく神霊適正を満たしていない為使用不可。

 

霊狐使役:E

魔力で作られた狐の体に魂を入れる事で霊狐として使役する能力。ただし、彼女に従う霊狐が居ない為余り意味がない。

その為、現在は式神として使役する事で、この能力の代わりとしている。

 

火焔宝珠の衣:−

火焔宝珠の印が刻まれた衣。同ランク以下の物理、魔術による攻撃の効果を無効にし、同ランク以上を軽減する事が可能だが、

装備していたらの話ですが。

 

宝具

 

千枝の楠:C+

所有者の本来の力を呼び覚ます円満の神木。ただランクが低い為ステータス上昇は無く、魔力回復も微量な為余り使えない。

ただし、長い月日の間に繋変転化の影響を受けており現在では、葉っぱだった部分が結晶の刃に変化し魔力を与えると強度と切れ味

上昇し、形状を変える事で弓としての扱える

他には風天や神明・葛葉などの術の行使に使ったりする。

 

夫狐・安倍保名:−

葛の葉と共に帰ってしまい使用不可。

 

信太の森:−

これは葛の葉自身の精神世界なので葛の葉ではない彼女では使用不可。

 

憑依転身と天現転身の能力値

憑依転身 梓希・黒

筋力:C

耐久:C

敏捷:C

魔力:E

幸運:C

 基本性能が高く、近接戦闘メインの場合に使用する事が多い。ただし、術の行使が出来なくなり、術に対する耐性がなくなるので注意。

 

憑依転身 梓希・白

筋力:E

耐久:D

敏捷:C

魔力:A

幸運:C

術に特化し、遠距離戦闘又は支援メインの場合使用する事が多い。一応ではあるが、近接戦闘も出来るが、通常時よりも筋力が落ちて

居るので注意。

 

天現転身 梓希・葛の葉

筋力:C

耐久:C

敏捷:B

魔力:A

幸運:B

英霊・葛の葉を模した形態で、上記の能力を全て持った万能タイプ。と言っても元のスペックがキャスターだった為、術に関して

はかなりの適正を持つ。また、敏捷も上がっており、近距離戦闘も梓希・黒程度の戦闘力を持っている。

因みに、何故葛の葉に似た姿なのかと言うと、長い期間葛の葉の側にいた黒の記憶と一時的だが葛の葉の体を動かした白の記憶

を繋ぎ合せて再現したもので服装だけを似せたに過ぎず、ただのコスプレに近かったりする。能力は若干再現出来ているが、それ

以外は特に変化が無かったりする。

そして、尻尾が黄金に輝く理由としては、梓希の魂と二つの魂が合わさった事により化学反応的な事が起こった事が原因である。

また、魂を更に取り込む事で制限時間を延ばす事が可能になる。ただし、伸びるとしても一つの魂で一分間程度である。

 

 

■梓希の旧名■

 

 本名 巫乃 梓希(みこの あずき)

   名前的にかなり名のある家系の様に見えますが魔術師でもなく何か特殊な力を持っている訳でもないごく普通の家庭です。

   ただ、梓希の場合は葛の葉が体の中に入った事で絆-Link-が覚醒しましたが、もしもあの場所に葛の葉と出会わなければあのまま

   死を迎え、“不治の病で命を落とした少女”で終わっていたでしょう。

 苗字の由来ですか、神の依り代、または神の憑依、または神との交信をする行為や、その役割を務める人を表す“巫(かんなぎ)

 の読み方を変え“巫(みこ)”に変えそれを苗字っぽくとものです。まぁ単純に“巫の梓希”をそれっぽく見せてるだけですが。

 因みに梓希自身、自分の苗字の事については覚えていません。それは幼かった事もありますが、その時は絆-Link-が覚醒していな

かった為にそれ以前の記憶が色々と曖昧な感じになっているのもあります。

 

 

■梓希録■

 

注意、ここに書かれている事は今までの梓希に起こった出来事を自分なりにまとめた物です。

軽くSSっぽい長さがあり、文面も下手くそで正直綺麗にまとまって感じもしないし、自分でも後半(特に第三次辺り)は説明とSS風味な

文章が混じって訳が分からなくなってたりしているので不自然な部分がっても気にしないでね。あくまでどうしてああなった梓希が

どうしてああなったのか気になる人向けに作ったものなので気にならなかったら読まなくてもOKです。

 

 

 

特に優れた家系でも無いごく普通の家庭である巫乃家の元に生まれた“ごく普通”の少女だった・・・

しかし、彼女が生まれて直ぐに彼女の親は事故で死んでしまう。身寄りの無い彼女は遠い親戚に当たる四季条家の養子として

引き取られたのだが、その直後の謎の病に罹りそのまま10年もの間、病院のベッドで寝たきりになっていた。

 

治療法も分からずただ時間と治療費だけが嵩む中で四季条の人々は彼女の事について言い争うようになり、その結果彼らは彼女を

“安楽死”させようと計画を立ててしまう。

彼女には自分の残り数ヶ月の命だと知らされたが四季条家の人々の反応を見る限りそれは嘘だと気付くが、自分が居なくなれば
彼らも楽になるだろうと思い生きる事を諦めてしまう。

 

生きる気力が消えただ窓だけを見つめていると突然、彼女の前に一匹の白い狐が現れた。

そこで彼女は聖板戦争との事を聞き、彼らがこの戦いで無関係の人々を助けようとしていた時に相手サーヴァントの奇襲に遭い

その際、葛の葉と言う名のサーヴァントの体を奪われてしった為、魂の消滅を防ぐ為に彼女の体を貸して欲しいと言ってきた。

葛の葉の事情を聞いた彼女は「私の体で良ければ使っていいですよ」と言い受け入れてくれた。人の体に憑依する事に躊躇していた

葛の葉だが、彼女の善意を無駄にしたくは無かった為、彼女の体に入る。彼女の体は葛の葉の魂を支えるには少し不便ではあったが

病で苦しんでいたとは思えないほど体が軽くなっていき彼女(葛の葉)の症状が治まり家での静養にまで回復していた。

 

その後聖板戦争が本格かしていく中、葛の葉は何も出来ない自分の不甲斐無さに落胆していた。彼女がそれに気付き葛の葉に

自分の体を使って助けに行けないのかと問うと可能かもしれないが彼女に負担が掛かるからと言う理由で断っていた。

だが、彼女は「自分の命は貴方に救われたのだからこの体は貴方が使って、私は本来死んでいる筈だったのだから・・・」と言う。

その言葉を聞き葛の葉も決心をつける。

 

その日の夜に葛の葉はこっそり抜け出し様々な場所で暴れまわるサーヴァントの元へ向かう。しかし、今の状態では人を助けられても

そこからどう生き残るのかが分からないでいた。そう考えている中、彼女に憑依した葛の葉は彼女の中から何か力を感じ取ると

葛の葉は何か特殊な術式を組み始め完成すると彼女の体が突如輝き出す。

輝きが消えると彼女の神は白く輝き、狐の耳と尻尾が生え、狩衣と和服が合わさった様な服装に変わっていた。不思議な事に、

この姿でいると本来のサーヴァントの力には及ばないがそれ同等の力を使える様になっていた。

 

その後、霊狐の「黒」と共に無関係な人たちが襲われていない各所を回り続けていた、勿論、葛の葉の体も捜しながら。

聖板戦争も終盤に入り等々葛の葉の体を奪った相手サーヴァントを見つけることが出来たのだが、そこには動く筈の無い葛の葉が

奇妙な服を着て立っていた。どうやら葛の葉の体に自分に忠実に動く人工的な魂を入れ、各所で戦っているサーヴァントの情報を集め

ていたのだった。葛の葉の体を取り戻す為に戦うが梓希の体では本来の力が出せる葛の葉の体とでは大きく差があり苦戦してしまう。

戦うにつれ他の魂の入った葛の葉の動きが悪くなっていく。どうやら葛の葉の体を使っていくにつれ葛の葉の体にあった残留思念が

空っぽの魂に自我を目覚めさせていたのだった。その為、相手の意思を読み取り戦いをしたくなっているのであった。

予想外の事に驚く相手サーヴァントは攻撃する様に命令するがそれを拒絶され激怒仕方なく梓希(葛の葉)を攻撃したのだが、その時

自我に目覚めた魂が梓希(葛の葉)を庇う。その行動に驚く相手サーヴァントの隙に攻撃し相打ちと言う形で相手サーヴァントを打ち倒す。

しかし、致命傷を負い手遅れの状態になってしまい既に消えかかっていた自我に目覚めた魂は必死に治療してくれた梓希(葛の葉)に対し

「ありがとう」と言い消える。消える寸前でどうにか自我に目覚めた魂の回収は出来たが全てを回収出来ず一部欠損してしまいた。

その後、自我に目覚めた魂を霊狐として使役し「白」と名付け仲間となる。

 

そして、聖板戦争が終わりを迎えると同時に葛の葉はそのまま自分も英霊の座へ帰ると言い出す。突然その様な事を言われ驚きを隠せない

梓希。勿論、葛の葉の魂が無くなればその魂で抑えていた彼女の病が再発する事は梓希、葛の葉は知っていた。

長い沈黙の後、葛の葉はある提案を出してきた。それは自分の魂の半分を彼女に与えると言うものだった。葛の葉に残って欲しい梓希は

「今まで通り自分の体を使っていい」と言うが、葛の葉は「この体も魂も貴方のものです、私がどうこう出来る代物ではありません」と言い

それを断る。そして、最後の力で現界しその際に葛の葉は自分そっくりな人形を渡し「これから貴方に様々な出来事が起こるかもしれませ

んが、決して挫けてはいけません。必ず貴方を支えてくれる友が現れます、その人を大切にしてくださいね」そう言い残し葛の葉は彼女の

前から消えた。

 

聖板戦争が終わり2年の月日が流れ彼女も外で動き回れるまでに回復していた。しかし、既に壊れた四季条家との関係を未だ取り戻す事が

出来ていなかった。

2年前の戦いを記憶と葛の葉から教わった呪術を元に練習を重ねていた。その際自分独自の術を作り出すまでに上達していた。

けれど、身体能力がどうにもならず走っても直ぐに息切れを起こしてしまう程の貧弱さだった。

 

学校にも通う様にもなったが長い期間人と話しておらず殆ど葛の葉としか会話をしたことが無かった為、クラスメイトとは絡む事が

出来ずにいた。しかし、学校での成績は常に上位をキープする程の優等生だった。

因みに彼女は記憶力がよく、一度見る、聞く、知るとわすれる事が内容で中学までの学力を数ヶ月で取得している。

 

その様な不慣れな日々を過していたある日、学校の用事で遅くなってしまい日が殆ど落ち月も微かに見えていたので急いで帰っていた。

その途中ふと人気の無い裏路地に何かを感じ行って見ると人の悲鳴が聞こえたので急いで駆けつけると見慣れない格好をした人が目に映る。

この光景を見覚えがある、そう2年前に起こっていた“聖板戦争”で暴れていた“サーヴァント”に類似している。本来なら怖くて動けなく

なる筈なのだが今に限ってはそんな事は微塵も感じなかった。今助けないと必ず後悔すると思ったら既に体が動いており直ぐ様駆けつけた

のだが、走った瞬間妙に軽い感じがしいつもよりも早く走れていた気がした。

早く逃げる様に言うと襲われていた人は彼女の方を不思議そうに見ながら逃げて行く。逃がしたのは良いがこれからの事を考えて

いなかったので逃げて行った人が居なくなった瞬間、自分も一目散に逃げ出す。後ろからは今まで人を襲っていたサーヴァントが

ゆっくりと追ってくる。早く走れたとしても流石に体力が持たず、空き部屋となっている中に入る。

 

何も聞こえない筈の部屋からサーヴァントの足音が聞こえる、ここで死ぬのかな・・・折角葛の葉さんから貰った命をこんな所で失うのかな・・・

その様な事を思い少し“後悔”をしている事に気付く。足音が近づくにつれ緊張がピークに達し、つい「助けて葛の葉さん・・・」と弱音を吐いてした。

その時、ポケットの中に違和感を感じ取り出してみると“黒い板”が入っていた。これは聖板戦争で重要な意味を持つ“聖板”でこれを使えば

サーヴァントを使役が出来る事は葛の葉から聞いていた。迫り来るサーヴァントに焦り、悩む暇も無く彼女は聖板を起動する。

起動し召喚の準備に入る中、ついに相手サーヴァントが現れ襲い掛かるがその瞬間、召喚の魔法陣の名から紅い光が相手サーヴァントを襲う。

姿を見せたのは紅い服を纏った地面に着きそうな程の長い紅髪が特徴的な少女とであった。そして、やれやれと言わんばかりに出てきた白い狩衣

を着たいかにも“アレ”な青年が現れた。彼が通った瞬間何故か葛の葉と同じ気配を感じていた。突然現れたサーヴァント驚く相手サーヴァント

は一度何かと話をする素振りをするとその場から消える。

どうにかこの危機を超えて腰が抜ける梓希にさっき召喚されたさ青年のサーヴァントが近づきこう言う・・・

「ところで、君・・・何者?」

何を言って居るのか分からなかったが彼女の頭を指差していた。気になり頭を触ると何かいつもとは違う感触を感じる、すると青年のサーヴァント

が袖から鏡を取り出し彼女を映す。そこの映っていたのは白く輝く髪に狐の耳と尻尾が生えたまるで“葛の葉の様な”梓希の姿だった。

 

どうやら葛の葉から貰った半魂が何らかの原因で彼女の体に影響を及ぼしているとさっき召喚したサーヴァントの“安倍晴明”が言っている。

理屈はどうあれここに居座るのは危険なのでこの場から離れようとした時、不意に葛の葉から貰った人形を落としてしまう。拾おうとした瞬間、

意識が薄れていき次の瞬間、獣の様な鳴き声を放ち晴明に襲い掛かる。不意の攻撃に近くに居た晴明の式神・騰蛇が気付き梓希を蹴り飛ばすが

素早く体を動かしまるで犬か狐の如く走り回る。突然の事だったのだが晴明は落ち着いて地面に落ちた人形を拾い、騰蛇の他に青竜、白虎を

呼び出し梓希を捕まえる様に命じる。梓希を追うも元は人間な為、あまり本気を出してしまうと怪我をさせてしまう為、慎重に捕まえる。

身動きの取れなくなった梓希に近づき人形を当てた途端、梓希の意識が戻る。どうやらこの人形が梓希の凶暴化を抑える役目を持つことに気付く。

梓希の方は暴れていた時の事が覚えているのだが、どうしてそうなったのかは分かっていない様である。

元に戻ったので今度こそ帰ろうとしたのだがどうも体が動かなくなっているらしい。どうやら凶暴化時は自分の身体限界を無視して動のかもしれない

と冷静に分析する晴明だった。

その後、数日間梓希は筋肉痛に苦しめられその後、彼女が自分の母親である葛の葉と面識があると聞くと目の色を変え葛の葉との出来事を詳しく

話していた。

 

晴明からの話では既に聖板戦争は始まっているらしく、撃退したサーヴァントもその一人と思っていいと言う。

更に聞くと今起こっているものは3回目で梓希が経験したものは2回目との事。それなら早く無関係な人達を助けないと慌てふためき急いで外に

出ようとした梓希を晴明が止める。愚直に行っても何も解決もしないし、それに君はまだ戦う為の力が無い。私が戦っている間、君は誰が守るんだい?

私の式神も無敵ではないのだから、などと説教されてしまう。

どうしたら良いのかと問うと今回の聖板戦争には“関わらず”君を“徹底的に鍛える”と言う。何故かと聞くと今後も梓希が危険になる出来事が

起こるらしく、自分は君を常に守る事は出来ない為、彼女だけで対処出来る程度まで底上げを行うらし。

晴明が言うには自分の母親が何の意味も無くこの様な力を与える筈はないし、現に梓希の狐化の凶暴化を抑える人形まで渡した事がある。病を抑える為

ならもっといい方法があり、体に影響を及ぼす程のものが彼女に必要なのかと感じているらしい。

確かに葛の葉が消える際、自分の見に何か起こる事を案じているような言葉があったが、葛の葉には“何かが見えていた”見えていたのかもしれない。

 

次の日から晴明の表情が少し曇って見える、自分が寝ている間に何か見ていた気がするが、とりあえず晴明の指示した通りに行っていると

小さな声で晴明が・・・

「本当にこれで良いのか・・・母さん・・・」 

そう聞こえた気がした。

 

聖板戦争が街中で起こっていることは気付いていたが、今の自分では“まだ足りない”と晴明は言う。私に何が足りないのだろう、梓希は晴明に

に問い掛けると「では聞くが君は“本当に”彼らを助ける為に“戦い”向き合う“意思”を思っているのか?」その答えを聞き少し戸惑ったが彼女は

「はい」と答えると「そうか、ならば今のお前なら葛の葉が行った“アレ”が出来る筈だ」、晴明言うアレとは葛の葉が梓希の中に入っていた際使っていた

“サーヴァントとしての力を引き出す”術の事だろうけど、アレは葛の葉が居たからこそ出来たもので今の自分には使えない筈、そう思いつつ以前

葛の葉が遣っていた通りに術式を組み始める。一応その時のやり方は自分の体を通して見ていた為分かっていたけれど、本当に出来るのだろうか・・・

一通りの準備も終え後は術式を起動するだけなのだが、何も反応が無い。葛の葉がしていた時は直ぐに起動していたのに、でもあの時と今では状況が

違うから仕方ないと簡単に諦めてしまった。それを見た晴明は・・・「やはり、まだ君には“戦う意思”は無い様だね」と落胆にも似た表情を見せる。

分からない、戦う意思なら十分にあるし、葛の葉の様に皆を助けたいと思って居ると反論するが・・・

「ならば君は本当に“自分の意思”でこの戦いをしていると思って居るのか?今の君を動かして居るのは私の母、葛の葉がやって来た事を自分に投影

しようとしているだけではないのか?私から見れば今の君は質の悪い宗教に操られている信者の様に感じるよ。誰かに頼るなとは言わないが、それ

すら他人に任せる様では君自身、それ以上強くはならないと思うよ」晴明はそう語り掛ける。

何も言い返せなかった、いや寧ろ分かっていたのかもしれない。裏路地での出来事も葛の葉なら逃げずに立ち向かうだろうと心の中で言い聞かせて

無理矢理体を動かしていた感じがあったし、後で“後悔”したのはあんな事なんてしたくなかったと言う“本来の意思”だったのかもしれない。

けれど、それを認めてしまうと自分は葛の葉さんの意思を継ぐどころかただの真似事だったと言う事を・・・そう感じる悔しくなり泣きべそをかきながら

家から飛び出る。

 

日も落ち真夜中の町をトボトボと歩いていると体に異変気付く、多分狐化が始まったのだろ。急いで人気の道に入るとそこは前にサーヴァントに

襲われた裏路地に来ていた。すると何所からとも無く悲鳴が響く、急いで駆けつけ様と思ったが足が動かなかった。多分晴明に言われた事が心に

響き自分の中にある葛の葉の意思に頼る事を拒絶しているのだろう、足が動かないのは自分の本来の意思がそうしているのだろう。

・・・進まないと、この先に居る人を助ける為に“自分の意思”で“戦う覚悟”を決めないと、この先もずっと前に進めない・・・

深く深呼吸をし、重たくなった足を前に突き出す。一歩一歩重い足を引き摺る様に歩く、次第に重さが無くなり早くなる、息切れも関係無く

無我夢中で走り続ける、既に狐化が起こっている事も知らずに。

すると目の前に2つの影が見えた、それは悲鳴を上げていた人と格好からしてサーヴァントであろう人物であった。

「その人から離れなさい!!」今出来る精一杯の声で叫びサーヴァントの注意を引く。サーヴァントがこちらを向いた瞬間、襲われた人は逃げ出し

姿を隠す。邪魔をされたせいか怒り狂ったような様子相手サーヴァントがこちらに向ってくる。高い緊張感で心臓のドキドキが止まらない中、

梓希は必死になって逃げる。この時、自分が狐化している事に気付きある考えが頭に浮かび角を曲がり死角になった瞬間、近くにある建物の

2階に勢い良くジャンプする。一瞬体に痛みが走るがお構い無しに飛び上がり窓にギリギリ届くことが出来た。急いで中に入った瞬間、曲がり

角から来たサーヴァントが今まで居た梓希が居ない事に気付き辺りを見渡し捜し始めた。

 

体力を回復させる為に手頃な場所で身を隠す梓希、この様なシチュエーション最近見た気がする。でも何だろ、あの時よりも落ち着いている、

何よりもあの行動をした事に“後悔”を感じなかった。もしかすればこれも自分の中にある葛の葉の意思ではないかとも思った、けれど

何かが違うでも否定はしない、これが“自分の意思”だと言う事が何と無く分かる。そう思いつつ助けを求める為に晴明に連絡を取る。

今までの出来事話すと「何をやっているんだ」と怒られてしまった。それに関して責任は取ると言うと晴明は落ち着いた口調で

「後悔はないんだな?」と言う問い掛けに「はい」と即答する。短い沈黙の後、晴明が「なら、今頃あの術を試してみるんだ。大丈夫だ、今のお前なら

出来る」そう言い通信を切る。既にサーヴァントが近づく音が聞こえる、悩んでいる暇はなく、急いで準備をする。最後の術式を組めば術が

起動するのだが、もし、これを行っても術が起動しなかったと思うと不安が残るがこうなればやけくその様な気持ちが梓希を突き動かす。

最後の術式を組んだ瞬間、相手サーヴァントの姿を見せる。もう駄目か思ったその瞬間下に組まれた術式が起動し梓希が輝き出す、光が止み

自分の姿を見るとあの時見た衣装とは少し違う部分もあるが、この感じは葛の葉さんがサーヴァント化した時と同じだと確信できた。

 

姿の変わった梓希を見て驚いている相手サーヴァントは直ぐに戦闘態勢に入り襲い掛かる。梓希もそれに反応して避けるのだが、避ける為に

態勢を変えた瞬間、体が軋む様な強烈な痛みを発した為、した直後に地面に倒れ悶える。攻撃をされた相手サーヴァントは再び攻撃態勢を

取り襲い掛かるが、梓希は体の痛みで身動きが取れないでいた、このままでは相手の攻撃を受けてしまおうとしていたその時、突如窓から何か

が入り込んで来た良く見るとそれは映画でよく見る様な手榴弾であった。突然の事に少しの間が入るが次の瞬間本能的に感じたのか。梓希も

相手サーヴァントも一斉にその部屋から飛び出ると地面に転がっていた手榴弾が爆発する。梓希は痛む体を必死に押さえ窓の外に飛び込んだ、

着地こそ失敗したが特に問題は無かったが体は動けず蹲っていた。そこに二つの影が見えた、一人は黒い服を着た青年ともう一人は鎧を見に

纏った女性か男性か分からない人が立っていた。どうやら聖板戦争に参加している1組なのだろう。

「大丈夫か?」あのタイミングといい多分、この人が手榴弾を投げたのだとしたら今の台詞に突っ込みを入れたくなる。しかし彼を見てもその様な

物を持っている様には見えなかった。その後、晴明と合流し青年と話をした。

彼の名は天悼柊夜と言い家に帰る途中、梓希の不審な行動に気付き後を付けていたらしい、サーヴァント化した時は驚いたがその後危機に陥っていた

為止む無く手榴弾を投げたらしい。変な力を持ってたので、あの位なら大丈夫だろうと適当な推測で行ったらしい。

とにかく相手サーヴァントも逃げてしまい、彼も聖板戦争には興味が無いらしくお互い協力関係を築きながらこの場を去る事にした。

 

帰り道、緊張がとけるとサーヴァント化は解け普通の服装に戻っていた。長い沈黙の後、梓希が晴明に対し自分が行った行為に対し謝罪を始めた

晴明は優しい口調でで「もういいのです、それより手に入れましたね貴方の“足りなかった”ものを」

私の足りなかったもの、それ“戦い”向き合う“自分の意思”だった様です。それがあのサーヴァント化とどう言う意味があったのか今なら分かる

気がする。

多分、葛の葉は今までの梓希にそのままあの力を渡せば、葛の葉の意思に振り回され更に危険な行為をすると感じたのでしょ。だから、梓希自身の力

でそれに立ち向かう心を持って欲しくてあの様な仕掛けを組み込んだのだろうと。梓希は葛の葉の思いをしっかり汲み取れた事に涙を流す。

 

翌朝、あの時の感覚を忘れない様にする為にサーヴァント化を再度行える様に練習を開始するが、同じ術式を組んだ筈なのだがまったく機能しない、

まさか、また自分の意思が揺らいでいるのかと慌てふためく梓希を落ち着かせる晴明、冷静に昨日の夜の事を聞き取る。色々と調べた結果、

サーヴァント化に必要なものは梓希の“意思”だけではなく、その前に狐化をしている必要がある他に葛の葉から貰った人形を持っていない場合でも

起動しない事が分かった。正直、人形を持っていないと凶暴化する為、必須なのかもしれない。また、サーヴァント化している間人形が無くなって

いるらしく、推測だがこの人形がサーヴァント化時の服になっている可能性が高いとされる。

この事から梓希の意思が“鍵”ならば、狐化は“生体認証”、人形が制御キー兼衣服の役割を持っているものという事が判明した。

また、回避した際の痛みについてだが梓希が狐化で凶暴化した時と同じで梓希の身体的限界を超えて動いている可能性が高く、全力で動けば

不完全な能力だとしても梓希への負担が多くなる為、強化魔術などで補強しなければならないようだ。

 

サーヴァント化について色々と調べる中でまずはサーヴァント化をする際のプロセスの簡易化を考える事にした。

まずは狐化だがこの状態になった裏路地を調べた所、あそこは霊脈と呼ばれる魔力が溜まり易い場所の様でそれが梓希の体内に入り過度に魔力が

溜まる現象が発生しているらしくそれが狐化の発動条件になっているらしく、簡単に言えば過度に魔力を摂取すれば良いとう事らしい。また、霊脈

が無くても“月”が出ている場合、長時間月の光を浴びると発動知る事から月が出ている場合でも発動する事が分かった。

ただ、霊脈が優れている場所は限られる上どちらも発動に時間が掛かる為、他の方法での魔力摂取として考えた結果、梓希がよく使う呪術の中に札

を円形に配置する事で連鎖反応が起こり、魔力を増幅させるものがある事が判明した。その時は余り効率が良くなかったが、晴明との協力により

短時間で発動可能量まで魔力を上げる事が可能になった。その際、身体強化魔術も同時に組み込む様に調整が行われた。これにより朝方でも

サーヴァント化が可能になった。

 

その後もサーヴァント化に慣れさせる為に十二天将達を使い、特訓行っていた。他には、呪術の基本的に知識を学びつつ陰陽道を学んでいた。

最も詳しき知る安倍晴明の指導と記憶力に優れた梓希に陰陽道を短期間で取得していくのだが、梓希自身そこまで魔力回路が多くなかった為

大魔術クラスの行使は難しく、ただ頭の中に収めていく程度だった。

 

聖板戦争も終盤になっていたある日、街中を歩いていると男性の声が聞こえたので振り返るもそこには男性の姿は無かった。気のせいかと思い

振り返った際、足に何か当たった感触があったので下を見ると身長50cm程度の男性が居た。少し間を置き梓希は驚き腰を抜かす。

パニック状態に陥り気絶寸前だった梓希を落ち着かせる身長50cm程度の男性、少し落ち着いたところで50cmの男性が話し出す。

彼の名はグレートローニンタイターΩ(本名ジョン・タイター)と言う自称未来人らしくこの聖板戦争の始まりから現在まで参加している

らしく現在は聖板戦争での被害を抑える為に動いているらしい。

そんな人が自分に何の様なのかを問うと、どうやら未来で見た女性に似ていると言うものだった。本当なのか確信は無かったがその女性と

自分にどう言う関係があるのか気になり聞いてみたところ、その女性は化け物と言われ世界を滅ぼそうとしたらしい、それ自体は彼女の死で

滅亡は免れた様だがその戦い多くの人々は死んでしまったとか。その時に女性の特徴が獣の様な耳と禍々しいオーラを放つ尻尾だったとの事。

パトロール中に梓希のサーヴァント化を目撃しその姿その女性に酷似しいた為もしかと思い近づいたらしい。

その後連絡を交換しまだパトロールの途中だった様でタイターはどこかへ飛び去って行く。

奇妙な出来事だったが聖板戦争をしていると、この様な事があっても平然と聞いていられる自分が怖いとさっきまでパニック状態に陥っていた

自分の事を忘れる事も出来ずにいる梓希であった。

ただ、未来に居た自分に似た女性の事がなぜか気になってしまうが、それは未来の話でその女性が“今ここに居る訳ではない”と言う事確認

しながら梓希は家に帰る。

 

なんだかんだで聖板戦争も終了し残ったサーヴァントは次々と消えていく中、晴明もまた体内に残された魔力で梓希に自分が出来る全ての

事を教えていた。消える前に晴明が一冊の本を渡した、「これに自分が教えられていない陰陽道の全てが書かれた物を渡しておく、君なら

覚える事に長けてるから直ぐに要らなくなると思うけど記念と思って持っていてくれると嬉しい」そう言い梓希から離れていく。

「どうして私にそこまでしてくれるのですか?私は何も出来なかったのに・・・」そう梓希が泣きながら問い掛けると・・・

「君にはまだ未来がある、そこで今まで教えた知識や経験を次の糧にするんだ。今は出来なくても次があるその時にその力を使いお前の守りたい者を

守ればいい。ただ、それを一人で全てを抱えてはいけない、必ずお前を助けてくれる仲間現れる、その時に彼ら頼るんだ、でなければ君は・・・」

一瞬、晴明の言葉が詰まった気がした。

「・・・いや、何でもない。・・・・・・そろそろ時間か・・・」

晴明の体が光だし徐々に消えていく。

「君に合えて良かったよ、何て言うか自分に“娘”が出来たみたいだったよ。母さんもそんな感じだったのかな・・・」

そう言い残し晴明は姿を消す。

 

それから更に2年の月日が経つ。

梓希は現在、四季条家からは離れ、江板市にある人も寄り付かない場所にある天悼神社と呼ばれる神社に世話になっている。

そこでは前回の聖板戦争で参加していた天悼柊夜、この神社の神主であり柊夜の弟である天悼拓未、そして彼ら兄弟の夫婦の4人が住んで居る。

柊夜は別の場所で暮らして居る為、実際は3人なのだがもう一人、神社の本殿から現れる和服姿をした珠瑠と言う少女の姿をした神様が平然と

彷徨いている不思議な家系である。

そこで彼女は晴明から教わった術などの練習をし、梓希の力であるサーヴァント化を完全なものにする為、日夜特訓を行っている。

その際、陰陽道で取得した式神の使役により、今の力では使役できなかった葛の葉の側にいた霊狐「黒」と「白」を式神として仲間にする事が

可能になった。

また、弱点であった近接戦闘技術の低さを改善させる為に多彩な武器を駆使して戦う事に長けた天悼家の兄弟の元で指南を受けていた。

 

ある日、神社の掃除を手伝っている時、本殿に座っている珠瑠が深く思い詰めた様な表情でこちらを見ている。彼女に初めて会った時も

一瞬驚いた後にあんな表情をしていた気がする。でも、ちゃんと会話は出来てるし、あちらから話しかけて来たりしてる事から自分が嫌いな訳では

無いみたいだけど。寧ろ梓希が気になるのかちょくちょく付いて来たりもしていた。そうしてると珠瑠が話しかけてきた。

「のうお主、何か悩み事とかはないのか?わしが聞いてやっても良いぞ」

何故か偉そうだが彼女なりに梓希を心配している事は分かっている、と言うより彼女が話しかける時は毎回あの台詞から始まるのである。

特に悩み事などはなかったので丁重にお断りをしてその場を離れようとしたその時・・・

視界に妙なノイズが走る。それは近くにいた珠瑠にも見え、梓希の体がノイズで歪んで見えるものだった。心配する珠瑠の声も擦れて

聞こえない程にノイズが強くなる。激しくなるノイズ次第に激痛にも似た痛みに変わり梓希はその場に倒れ蹲ってしまう。この様な経験は

初めてでまるで今ある場所から切り離されるそんな恐怖を覚えた。やがて意識が遠のく最中、珠瑠がこちらに向って来るのが見えたがそこで

視界が暗くなり意識を失う。

 

次に目を覚ますと神社に居たはずの自分がどこか知れない空き地に倒れていた。空は月夜が見える真夜中になっていた。見覚えの無い土地

を彷徨っていると奥に町の光が見える、案内標識を見ると石枝市と書かれていた。取りあえず町に向かう事にした梓希はすでに聖板戦争に

巻き込まれている事をまだ知らずにいた・・・

 

                                                          To Be Continued・・・