甦る戦姫【樋口鞘】
――いつから、自分の境遇に疑問を持ち始めたのだろう。
ある日を境に毎夜繰り広げられるようになった、町全てを巻き込む、しかし町から外れる事もない戦い。
不思議と、この喧騒を、空気を……自分は知っているような気がする。
目に入るモノに、何故か懐かしさを感じずにはいられない。それを知りもしない筈なのに。
どうして、初めて会う彼の生気のない眼差しに、胸が締め付けられる心地がするのか。
どうして、自分と同じ読みであるだけの彼女の名を呼ぶのが、こんなにこそばゆいのか。
自分はいつ、何を見て、何を感じてきたのか。
便利屋などという看板を掲げている今とは違う何時かに、置いてきた何かがあるのだろうか。
逆にそれらの何時かから捨て去られた何かが形を成し、
そこから「自分」という存在を用意し、舞台に当て嵌め、演じさせているのか……
本当は、自分は何者なのだろう――
――漠然とした「疑問」が、解き明かすべき「謎」へと変わった時、
彼女もまた“戦争”へ、果敢に身を投じるのである。
……
正体は、第二次聖板戦争に参戦したアーチャーのサーヴァント「巴御前」。
戦争後は小聖板に集められた僅かな魂を用いて、不完全ながら受肉を果たしていた。
その際に放出された英霊としての力の一部が平行世界に流れ込んだのが、第四次聖板戦争においての「彼女」である。
『英霊の座』を経由してもおらず、イレギュラーな存在。元の彼女と同じ姿と心を持つが、厳密には別人。
強大な魔力がぶつかり合う戦争の最中にあって、徐々に抜け落ちた記憶が戻りつつある。
しかしそれが完全に戻る事は、彼女の「英霊としての再覚醒」を意味しており、
向こうと違って魔力の供給先が存在しない為、いつ魔力切れによる消滅を迎えるか、非常に危険な状態に近づいているのだが……
■人物像
一人称:私 二人称:あなた
「どうして私は此処に居るのか……何も記憶にない。
――でも、こういう時……私はきっと、こうして闘ってきたんだと思う」
真っ直ぐで一途。覇気に満ち面倒見のいい、いわゆる体育会系女子。
やや血の気が多く、好戦的な面が強い。礼節を欠く行動にはよくキレる。
自己犠牲の精神にはどうにも敏感で、見ていて複雑な気持ちになるとか。
■聖板戦争における方針
基本的に己の業務を全うしており、自ら戦争に介入する事はない。
しかし戦闘に巻き込まれている者がいれば積極的に救護に向かう。
戦いとなれば剛腕にモノを言わせた格闘術による制圧を試み、直接戦闘であれば簡単に負ける事はない。
しかしそのパワーで周囲のモノを薙ぎ倒し、逆に被害を拡大させる事も……。
なお、サーヴァントとしての力は現在殆どなく、肉体的にも「一般人としてはデタラメに強い」程度。
大石義樹、時任紗矢の2人には初対面の時から特別な感情を抱いており、以降も奇妙な縁がある事から無償で力を貸す。
頼まれれば格闘技のレクチャーなんかもする模様。
■イラスト、小説の二次創作使用
どんどん使ってやってください。
「さーて、今日も張り切っていきましょうか!
……こうして動いているのが、何だか私らしいって気がするのよ」
「『最後に』なんて言わない……
絶対、護り通してみせるから――『最期まで』」