「はは、は。いい笑顔だ、今のうちに笑っておくといいよ。そう、死ぬほど。」
枯れ木のような痩身長躯に青白い肌、ともすれば死人のようなその容姿を否定するかのように、その双眸は爛々と光を灯す。
全てを射抜くかのように見開かれたその両眼は、それでいて屈託のない笑みを溢す。その様はまるで子供のようでいて、無邪気さが故に残酷でもあった。
転片糸。御浄会系淡子組若頭補佐という役職を持つ、得体のしれない生きた死体のような男。
淡子組における金策担当であり、所謂金融ヤクザとしての側面を持つ。そのシノギは莫大であり、金策に優れた淡子組組長淡子数永をして子供扱いにするほどであった。
年齢不詳、新参でありながらその能力で瞬く間に若頭補佐までのし上がった彼は、その金策能力を背景に勢力を拡大、淡子組の中でも一大派閥を率いるほどになっていた。
淡子もそのような彼を当然危険視していたが、その能力ゆえ重用せざるを得ない状況となっていた。またあまりに唐突な一連の流れに対して、ある噂が流れるようになっていた。
曰く「淡子組への監視・相談役として御浄会より派遣された人物なのでは」「御浄覚は御浄会の専任弁護士であった淡子数永を警戒、楔を打った?」「転片糸こそ御浄会会長御浄覚の隠し胤なのではないか」
……噂は本当であるのか。気付けば淡子は、軽々に転片を切ることができない状況に追い込まれていた―――。
■人物像
一人称:僕 二人称:君
転片 糸 (ころひら いと)
享楽的で刹那的、可笑しみのために行動する人物。夏であるというのにモッズコートを羽織り、毛束より眼を躍らせるその姿は筆舌に尽くしがたい。
非常に知性的な人物でもあり、また様々な要因から他者の情報を獲得し、運用し、己のいいように弄ぶことを趣味とする悪辣な人間性を持つ。
凶悪な側面とそぐわない軽妙かつどこか現実離れした物腰は、それが故に気味の悪さを助長している。
彼に振り回されまいとすればするほどその足元は崩れ落ち、這い上がることが出来なくなるだろう。
逆に彼の流れに乗ってしまえば、乗ることを許せる人間性であれば、人世を振り切り心からの愉悦を得られるだろう。その後の人生は保証しないが。
戦闘能力に関しては、彼自身の肉体的能力は低いものの、他者を害することに対して一切の躊躇を持たないその性格故に、一般人相手ではまず問題なく一方的に蹂躙できる。
また、即死レベルまで出力制御可能なスタン警棒を常備しているため、観察・分析することで格上の相手でも妥当し得る。
とはいえ現場仕事は自分の領分ではないと思っている節があるため、基本的には直接戦闘は行わない。
非常に鼻が効くためか匂いフェチであり、多種多様な匂いを即座に看破できる。最近の流行りは脂の匂いだという。
■戦闘スタイルと聖板戦争における方針
『方針・目的』
情報を集めつつ高みの見物を決め込み、部下を投げ打ちながら面白そうな状況であれば自らもつつきに行くという自分勝手で自己満足な振る舞いを主体とする。
初期段階では全く現状がつかめていないため、人脈を駆使しつつあらゆる手段、主に血腥い方法を用いて情報獲得を行う。
彼自身の戦闘能力は他マスター等と比べれば基本的に低いため、本格的なサーヴァント戦になった場合は町ヶ渕を誘導、盾とする。
また、願望機たる聖板への興味はかなり強いため、存在に気付いた時点からが彼にとって本格的な戦争参加となる。
■台詞
「はは、嘘、バレないって思ってた?いやだねえ浅はかでさァ。
―――臭うんだよ。その性根。」
「世の中お金で解決することっていーっぱいあるんだってさ。あ、君以外の話ね。」
■イラスト、小説の二次創作使用
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