・人物 ――破天荒で乱暴、だけど裏表もなくさっぱりした性格。 声が大きいし、何かと僕に絡んでくるし、自分で物事を勝手に決めては 僕を振り回すので、最初は嫌いだった。 でも、いつも笑っていて、僕の話もちゃんと聞いてくれる。 困っている人に声をかけては、裏路地の『アジト』で一緒に鍋を囲んだりしている。 少し……いや、かなり怒りっぽいけれど、面倒見がよく、思いやりのある人のようだ。 怜治は口ではおじさんを悪く言ってるけど、本当は大好きなんじゃないかって思う。 ・外見 ――筋骨隆々の初老の男性、と一言で言うのは簡単だけど、 初めて僕がおじさんを見た時はとても人間だとは思えなかった。 背も高く、肩幅も広い。ごつごつと身体についた筋肉はまるで岩山のようだ。 もうおじいさんと言っていい歳なのか、顔には沢山の皺が刻まれている。 しかし目だけは、まだまだ現役だと言いたそうに若々しい光を放っている。 歳をとっているように見えるのは顔だけで、実はもっと若いのかもしれない。 怜治も大きいけれど、おじさんの体格はやっぱり人間離れしている。 どんな怪物と闘っても勝てそうな気がする、そんな凄みが感じられた。 でも、家の中を裸で歩き回るのはやめてほしい。 ・行動方針 ――聖板戦争では、生き残った人は何でも願いを叶えられると言われている。 でも、おじさんには特に叶えたい願いはないみたいだ。 どちらかと言えば「強い人と闘う」ということ自体が好きらしく、 毎日どこかに行っては、傷を作って帰ってくる。 ある日、僕は思い切っておじさんに聞いてみることにした。 おじさんはニヤリと笑ってこう答えた。 「そりゃあないこともないが……まあ、欲しい奴がいるってンなら、譲ってやらんでもねえぜ。  ただな、この老いぼれ一人も倒せねえで、願いだどうだと言うのは虫が良すぎるたぁ思わねえか?」 ・戦闘スタイル ――一度その闘い方を見せて貰ったけれど、凄まじいの一言だった。 とにかく相手に向かって突進し、圧倒的ともいえる腕力で捻じ伏せるのだ。 多少傷ついても一向に構わず、相手に近づいたら最後、一度掴んだ相手は決して離さない。 殴る・蹴る・投げ飛ばすなどあらゆる手段を用いて叩き潰し、離れる隙も与えずに倒してしまう。 近距離での格闘戦で限って言えば、おじさんは英霊の中でもトップクラスらしい。 でも、逆に弓や銃など遠くから攻撃してくる相手は苦手そうだ。 『対魔力』も持たないから、強力な魔術を使う人には特に気を付けなければいけない。 今のところおじさんは僕を戦いに連れて行ってはくれないけれど―― そんな人に今後出会うことがあったら、その時が僕の出番だ。 ・余談 ――そういえば、この前僕が帰ってきたら、ちょうどおじさんがバットとグローブを持って出ていくところだった。 この近くに野球ができるところってあったかなあ…… (倉木未来の手記より一部抜粋)