※サーヴァントの真名が書いてあります。ご注意。 詳細設定 企画エントリーシート+ ・人物   1777年生まれ1798年没。清代に白蓮教徒の乱を引き起こし、中国全土を混乱の渦に叩き込んだ女性。   国巣設定ではその正体を、北魏の時代に出現した弥勒菩薩を信仰する殺人教団の幹部・恵暉尼の転生体としている。   第三次聖板戦争に参加していた目取真重雄(国巣製作キャラ)のサーヴァント、林黒児も彼女の転生体の一人である。   …もっとも、黒児は転生儀式の失敗で前世の記憶をほとんど失っていた為に、あんな性格になってしまったのだが。   恵暉尼としての本来の人格は、こちらの王聡児の方が近い。   世界を救う救世主・弥勒仏マイトレーヤの降臨を願い、1300年に渡って転生を繰り返し様々な時代で争乱を引き起こした。 今まで数々の男たちを救世主にしようとしては破滅させてきた、魔性の女である。   その本質は苦境にあって救いを求める人間の業そのもの。その救いとは、現体制や社会の破壊による浄土の招来…すなわち理想郷の建設。   第四次聖板戦争では目取真重雄(ブラック)を使って人工的に弥勒を作ろうと企てる。     平行世界において、林黒児として第三次聖板戦争を仲間と共に戦い抜いた記憶は、微かに残っている。   その温かな思い出に戸惑い、あちらの世界から来た目取真重雄(ホワイト)や小田吉法子と遭遇した場合は何とも言えぬ   感情が湧き上がって逃げ出してしまう。  ・方針(聖板戦争での立ち回り方) 本来なら魔術組織・霊長総軍に従うサーヴァントとして、聖板戦争の管理・運営に従事するのがその責務である。   しかし王聡児は組織を出し抜き、聖板戦争に参加する数多の英雄英傑から『 英雄因子 』を掻き集め、   その受け皿として用意した器であるマスター・目取真重雄に注入する事で、彼を究極の超英雄たる救世主・弥勒にしようと画策。   彼女は大極点による破滅の回避というよりも超英雄・弥勒の誕生にこそ重きを置いており、むしろ人類が絶滅さえしなければ、ある程度の破壊は必要と考えている。   目的は近いように見えるが、霊長総軍とは根本的な部分で思想が相容れない。   弥勒降臨の為の魔術儀式を行うため、死を偽装して組織を欺き地下に潜伏。戦争の経緯を見守りつつ、英雄因子の更なる集結を待つ。    …が、手駒としていた弟子に裏切られ、あえなく命を落とす事に。しかし、千年を生きた魔女の一念はこれしきで消えはしない。   いずれまた蘇り、この世に災いをなすだろう。それは次の聖板戦争かもしれない。 ・戦闘スタイル(強み・弱点含む) 転生を重ねて身に着けた武術や法術を使用して戦う。   宝具は回復用・防御用・攻撃用とバランスよく三つ揃っており、状況に応じて使いこなせれば心強い。 特に彼女の切り札である『 降神付体 』の宝具は強力であり、うまく使用すれば格上のサーヴァントをも倒せる。 ・戦闘時相性の悪い相手・良い相手 オールマイティーなその戦闘能力は、得意な相手もいなければ特別苦手な相手もいない。 ゆえに、その活躍は状況次第、展開次第といったところである。   あえて挙げるとすれば、多彩な攻撃手段を持つ割にはどれも決定打に欠ける、というところだろうか。 ・性格的に相性の悪い相手・よい相手   弥勒の降臨による破壊と再生こそが救済への道、と考えている狂人であるので、まず常識的な思考を持つ相手からは理解されない。    同じように破壊を好む相手には好意を示す。 ・マスターについてどう思っているか   救世主にして究極の英雄・弥勒の雛形である『 如来蔵 』の持ち主である事に目をつけ、巧みに誘惑して英雄因子を注ぐ器にしようと企てる。   器として最低限の英雄性を持たせるため、弟子に迎えて武術や魔術を教授し、鍛える。   初めの内は師としてそれなりに好感も持っていたが、弟子は力をつけるに従い徐々に傲慢になり始め、性根の卑しさも露呈しだした。   果たして本当にこんな男が、救世主になれるのか…? 彼女の心に不安の影が射す。   ちなみに恋愛感情はこれっぽっちも持っていない。 ・聖板にかける願望   ない。あくまでも自分のやり方で願いを叶える事にこだわる。 ・セリフ 『 新仏、今ぞ世に出んとす。旧魔を除き去れ。新しきは善、古きはすべて悪なり。 』  『 一人殺さば内身一住菩薩! 十人殺さば十住菩薩! 万人殺さば万住菩薩の境地ぞ! 殺せ!!殺せ!!殺せッ!!!! 』 『 図らずも得たり今生の生…必ずや此度こそ、弥勒をこの石枝の地に降臨させて見せるぞえ。』  『 はじめまして、重雄くん。心理カウンセラーの国仲聡子です。よろしくね。』  『 あなたが必要なの。私に力を貸して。ねえ、お願い重雄…。』  『 林黒児などという娘は、束の間の夢じゃ。忘れておくれ…異なる世の目取真、法子よ。 』  『 し…重雄…わらわを裏切るのかえ…。ぐぐッ、天魔波旬め。抑止力を気取りおって、貴様の差し金か――――。』 ・イラスト・小説などの二次創作使用の可否 かまいません。 ・その他自由スペース   《 降神付体による憑依解説 》  関公   …『三国志演義』などに登場する武将。本名は関羽、字を雲長。         憑依時には愛馬・赤兎馬に跨り、青龍偃月刀で敵を切り裂く。  二郎神  …『西遊記』『封神演義』に登場する神仙。別名を顕聖二郎真君。         憑依時には三尖刀と、哮天犬をもって敵と渡り合う。  斉天大聖 …『西遊記』に登場する妖仙。別名を孫悟空。         憑依時には武器・如意棒と筋斗雲の機動力で相手に打ちかかる。変化の術や分身までは再現できない。   諸葛武候 …『三国志演義』などにその名を残す知略に優れた軍師。本名は諸葛亮、字を孔明。         憑依時には知力を上昇させ、壇を築いて大風を起こす。元戎を射かけたりもできる。  西楚覇王 …『史記』などにその名を残す楚漢戦争の英雄。本名を項籍、字を羽。         憑依時には凄まじい武威を発揮し、愛馬錐にまたがって群がる敵をなぎ倒す。  達磨   …中国民間伝承に伝わる僧侶。嵩山少林寺を設立し、少林拳の開祖とも言われる。         憑依時には座禅を組む事により気を高め、拳法の技で敵を倒す。  済公   …中国民間伝承に伝わる僧侶。本名を道済。活き仏と崇められた。         憑依時には神通を発し、眠りながら夢うつつで念動力を使い、巨大な大木の幹を操って攻撃する。  南極仙翁 …『西遊記』『封神演義』『白蛇伝』などに登場する道教の神。七福神の寿老人のこと。         憑依時には五火七禽扇を振るう事により五種の炎を起こし、敵を焼く。 ☆玉皇大帝 …『西遊記』に登場する天界の支配者。本来ならば憑依など不可能な道教の最高神である。  憑依時には数多の天兵を召喚し、敵を攻撃させる。 ☆元始天尊 …『封神演義』に登場した闡教を治める教主。本来ならば憑依など不可能な道教の最高存在である。         憑依時には三宝玉如意で空中から敵を打ち頭を割る。また宝貝無効化の太極旙や盤古旛も操る。 ☆洪鈞老祖 …『封神演義』に登場した元始天尊、太上老君、通天教主らの師。中国神話に登場する創世の巨人・盤古と同一視される事もある。         憑依時には宇宙そのもののような巨大な神威を発し、相手を威圧する。しかし威圧するだけである。 ※☆のついた三つは魔力消費が激しい切り札。 ※これらの降神たちの使用武器は宝具ではなく、あくまで具象化したイメージの一部分のようなもの。 ※使用時には各神ごとに、京劇の面のような隈取が王聡児の顔に浮かぶ。 -------------------《以下、おまけ設定》----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 【ある魔女の足跡】   ――――――王聡児。   1777年生まれ1798年没。清代に白蓮教徒の乱を引き起こし、中国全土を混乱の渦に叩き込んだ女性。   湖北省襄陽の白蓮教教主斉林の妻、斉王氏ともいう。幼い頃より武芸に優れ、大道芸で生計を立てていた。夫の斉林が1796年に蜂起に失敗して捕えられて斬首されると、   王聡児と斉林の弟子の姚之富は湖北省にて五万の白蓮教徒を率いて蜂起し、河南省に攻め入った。 翌年、四川省の信徒と合流するため四川入りしたが、四川総督の明亮に四川北部で包囲され、かろうじて脱出。 その後、王聡児は2万の信者を率いて西安を攻撃したが、敗れて湖北に戻った。1798年、追い詰められた王聡児は茅山にて姚之富とともに自害。 蜂起は1804年になって鎮圧された。 …以上が史実において、王聡児なる女性の経歴である。続いて、もう一人の女性の経歴を紹介する。   ――――――林黒児。   1871年生まれ1900年没。清末の義和団の乱の指導者の一人。   船こぎの娘として生まれる。幼いころより雑技を学び、大道芸で生計を立てていた。   1900年、天津で義和団が蜂起すると、義和団首領の張徳成の支持のもと、女性の義和団組織である紅灯照を組織し、黄蓮聖母を自称した。 紅灯照は義和団とともに天津の駅と租界を襲撃し、看護活動にもあたった。8ヶ国連合軍によって天津が陥落すると、林黒児も捕らえられた。その後の消息は不明である。 …中国人学生でも歴史の授業でよく間違えるこの二人の女性、実は不老長寿の秘薬を飲んだ同一人物である…なんて設定の伝奇小説もありそうである。   黒児の参加した義和団も、元々は王聡児の信仰した白蓮教の支派に源流を持つ。生きた時代に百年の差はあれど、これ程似た境遇の両者も珍しい。   さて。ではさらに続いて、第三の女性の経歴も紹介させてもらおう。時代は千三百年遡る。   ――――――恵暉尼。   生年不詳。515年没。北魏の時代に夫の怪僧・法慶と共に大乗の乱を引き起こし、多数の人間を殺戮した女性。   救世仏である弥勒を信仰し、人を殺せば殺すほど教団内での位が上がるという教理に従った殺人団を率い、夫であると法慶と共に冀州(河北省)で反乱を起こす。   法慶と恵暉尼は秘伝の狂薬を調合し、肉親も認知できない状態にして、ただ殺害のみに当たるようにさせた。 こうして多くの人間を殺害した信徒を『 平魔軍司 』すなわち魔を平らげる軍の長と呼び、来世ではその徳により浄土に生まれ変わるとして評価したのである。   この狂える殺戮集団は征討に赴いた北魏の軍隊を撃ち破り、凶徒はついに五万人に膨れ上がる。至る所で寺舎を破壊し、僧尼を惨殺し、経像を焼き捨てた。   しかし彼らの快進撃もここまで。征北大将軍に任じられた元遥が反乱の徒を撃破して鎮圧し、法慶と恵暉尼ら数百人を斬り捨てた。ここに邪教は鎮圧されたのである。   王聡児、林黒児、恵暉尼。彼女たちは時代こそ違えど、そのカリスマによって人の心を操り、天下に争乱をもたらした。   共通するのは、いずれも弥勒信仰と関わりがあるという事である。時代の節目に度々現れる、妖しき魔女たちの正体はなんなのか…?   国巣設定では彼女らは救世主・弥勒(マイトレーヤ)の出現を悲願とし、その成就を求めて転生を繰り返す同一の魂を持った者たち…という解釈である。   名前こそ出てはいないが、元末の紅巾の乱にも関わっている。そして唐の時代に現れ、自らを弥勒の化身と称したあの名高き悪女も…。     弥勒下生。それは苦しみに満ちた世界から逃れる為、未来に現れて衆生を救うとされた弥勒仏の降臨を、今に求める思想である。 不浄の世界を破壊し、業深き人間を殺し尽くすことで、弥勒を迎え入れる準備をする。戦いで死んでも、来世での幸福が約束される…。   そんな狂気に憑かれた信徒たちは、革命運動やテロ行為を史上幾度も行ってきた。   だが、権力者に虐げられた民衆はその狂気を、破壊の後の再生を支持した。この苦境を救う救世主・改革者を求め、その強烈な願いが一人の魔女を生み出す。   悪政の犠牲となり、家族を失った少女は汚泥に溢れたこの世界からの救いを願った。しかし何度願っても、どれだけ待っても、救世の仏は現れなかった。   ならば探そう。どこかに必ずいる救世主を探すのだ。もし見つからなければ、自分が救世主を作れば良い。少女の長い長い旅がはじまった。 歳月は流れ、少女は人を惑わす美貌と、数々の妖術を身につけた妙齢の女となる。   世界各地を渡り歩いて救世主・弥勒となり得そうな器の男を探し出し、その者を助け、煽り、唆して世を覆す為の戦いへと駆り立てる…そして例外なく男達は破滅していった。     大乗の乱を起こした法慶は強力な幻術の才を持っていたが、自惚れが強く油断ばかりの迂闊な男だった。   紅巾の乱を起こした韓山童は人品清らかで威厳があり、これこそ弥勒の再来と思われたが武運無く討たれた。   白蓮教徒の乱を共に起こした姚之富は優れた資質を持っていたが、修行が間に合わず未熟なまま敗死した。 義和団の乱を起こした張徳政は剛毅な武人で賢明な男だったが、聖堂教会の妨害によりあえなく死なせてしまった。 八卦教の乱を起こした林清は予知能力を持ち、情け深く人に慕われる男だったが、冷静さを欠いて戦死した。   どの男も弥勒にはなれなかった。やはりこの世に救世主などいないのか。いや、そんなはずはない。   必ずどこかに、世界と自分を救ってくれる者がいるはずだ。あらゆる穢れを浄化し、浄土を招来してくれる存在が…。 しかし千年を生きた魔女の魂も遂に転生に失敗し、冥府の闇を彷徨うこととなる。   だが巧まずして、この度サーヴァントとしてその写し身が石枝市に召喚され、再び現世で活動できる好機を得るのである。   新たな舞台を得て、その執念は今度こそ実を結ぶ事ができるのだろうか…?